問題は、罰則が不公正だからかもしれません。兄弟ゲンカが一番激しいのは、子どもが「罰が不公平」と感じる時です。つまり、「違反者」が捕まらず、たとえ見つかっても、裁かれもせずに自由にされる場合です。一般社会で法律が定められ守られるには、人々を互いから守るためであることを理解することが重要です。同じように、家族もミニ社会で、やはり人権が守られる必要があります。
例えとして、私が無法な開拓時代のある地域に住んでいるとしましょう。警察官はおらず、訴える裁判所もない。そのような状況では、近所同士が互いを虐げても罰を受けません。お隣さんが私の馬を盗み、窓に石を投げ、反対に私が彼の好物のりんごを盗み取り、夜中に鍬を盗み出すとします。この種の敵対心は、日ごとにエスカレートする性質があり、時が経つにつれて悪化します。ほっておけば開拓時代にあったように憎悪と流血の大惨事になってしまいます。
既に述べたように、法と秩序を必要としている点で、家族と社会は似ています。公正のないところでは、肩を並べる兄弟姉妹は互いを攻撃し始めます。兄や姉のほうが大きくて体力があり、弟妹を虐げられます。しかし、年下にも「武器」がないわけではありません。兄姉のおもちゃや大事にしている物をこわしたり、友だちが来ている時に邪魔したりしてやり返します。
多くの家庭では、善悪の判断を徹底させる罰が十分に行われていません。あるいは、親が兄弟ゲンカにへきえきして、巻き込まれるのを拒んでいます。もしくは、「あなたは大きいんだから」という理由で、お兄ちゃんに少々の我慢を強いている場合もあります。いたずらっ子の弟や妹がする悪さから身を守ることができないように、お兄ちゃんの手を縛っているのです。子どもたちが家で傷つけあっているのに、今日ではますます一般的なことですが父も母も働いて、家を空けています。
親御さんたちに再度言います。親としての最大の責任の一つは、家庭内に公平な罰則とバランスのとれた兄弟関係をつくることです。家族の誰にも公平になされる、合理的な「法律」がなくてはいけません。例として、私の家で長年の間にでき上がった、守るべき境界線とルールとを公開しましょう。
1 どの子も、お互いをバカにし傷つけることは許さない。例外はない。
2 2人の子どもは、それぞれのプライバシーが尊重される部屋を持つ。ドアには鍵があり、入るには、その部屋の持ち主の許可がいる。(1つの寝室に2人以上の子どもが寝ている場合は、ひとりひとりに専用のコーナーを与えることができる)
3 年上の子は、年下の子をからかってはいけない。
4 年下の子は、年上の子にいやがらせをしてはいけない。
5 ひとりでいたかったり、友だちといたい時には、兄弟で遊ばなくてもよい。
6 それでも兄弟ゲンカになったら、できる限り早く、えこひいきなく公平に親が仲介する。
どのような罰則にもあることですが、我が家の規則も、
(1)子どもが親のリーダーシップを認めること
(2)親が喜んで仲介をすること
(3)時には罰を執行することなどの条件が必要でした。愛をもってこれを行えば、兄弟は憎しみ合うのではなく、少なくとも忍耐し合うようになるでしょう。
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