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ファミリー 
ドブソン博士
  ドブソン博士の一問一答
Q.243

うちの3人の子どもはケンカばかりしていて、こちらがおかしくなりそうです。なんで仲良くできないんでしょうか


A.

よい質問です。兄弟ゲンカは、新しい問題ではありません。カインがアベルに犯した史上最初の殺人もそれが元ですし、2人の子どもがいる家庭では、事実上どこにでもある問題です。根本は子ども同士のねたみと競争心です。マーグリト・ビーチャー/ウィラード・ビーチャー夫妻は、兄弟ゲンカが避けられないことを次のように書き表わしています。

かつては、子どもに「妹や弟が生まれるんだよ」と言って聞かせれば、分かるものとされていました。「子どもが好きだから、もっと楽しみたいんだ」と説明したのです。それで競争心を持たないようにと願いました。しかし、うまくいきませんでした。無理もありません。

もし夫が、君を愛しているから「自分の幸せを増すために」もうひとり女性を連れてくると言ったら、妻はねたみにかられるに決まっています。それどころか、兄弟の場合と全く同じで、その時こそ争いが始まるのです。

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Q.244

子どもたちの間にそれほどねたみがあるなら、兄弟同士の生来の敵対心を最小限に押さえるには親はどうしたらいいでしょうか?


A.

互いの不利になるような比較をしないことでしょう。兄弟姉妹は比べられることに極端なほど敏感です。

「自分の成績はどうか」ではなく、「ジョンやスティーブやマリオンに比べて、自分はどうか」と考えてしまうのです。「自分のタイムはどうか」より、だれがテープを切ったかが問題です。自分の身長そのものより、男の子はだれがクラスで一番背が高いかに興味を持ちます。どの子も、友だちと自分を比較して見る癖がついており、自分の家の中での失敗については過敏なほどです。
ですから、いつも誰か一人だけひいきするような言い方を両親は慎むべきです。

具体例をあげましょう。私が10歳の頃、近所の2家族が飼っていた犬たちと遊ぶのを楽しみにしていました。1匹は、黒いスコティッシュ・テリヤで、テニスのボールを追いかけて拾って来るのが上手でした。もう1匹はブルドッグで、これがすこぶる態度が悪かった。

ある日、テリヤにボールを投げてやっていたとき、ふと「たまには不機嫌なブルに投げてやっても面白いかな」と思ったのがまちがいの元でした。ボールは、ブルドッグの下に転がり、ボールをとりに来たテリヤはブルに首根っこを噛まれてしまいました。テリヤが痛がって泣くので、近所の人たちが走り出てきました。ブルドッグを引き離すには、ホースの水を使って10分程格闘しなければなりませんでした。テリヤは息も絶え絶えで、2週間も入院し、私はそのあいだ面目を失いました。ボールを投げたことを、私は今も悔やんでいます。

そのことを何度も思い返しては、これは人間関係でも同じだと考えました。争いごとの種を蒔くのは簡単です。言わば「ボール」を2人のうち、より攻撃性のある人の方に投げてやればいいんです。例えば、1人が口にした否定的な言葉を当人の前で繰り返したり、2人のいるところで一方に「餌」を投げてやるのです。ビジネスの世界なら、オーバーラップするエリアを2人の管理者に任せるのです。そうしたら競争意識丸出しでぶつかりあうでしょう。残念ながら、そんなことは日常茶飯事です。

この原則は兄弟にも当てはまります。兄弟が一生の仇になることだって簡単。親はただ、まちがったところにボールを投げればよい。そうしたら生まれつきの競争心に火がつきます。

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Q.245

兄弟ゲンカをさけるために、親としては具体的にどんな注意が必要ですか。


A.

とてもデリケートな領域が3つあります。

第1に、子どもは容姿など肉体的特徴には敏感です。一方をほめ片方を無視していたら、無視された方は当然ながらおもしろくない。例えば、親が妹について「あの子は、きっと美人になるよ」と何気なく言うのを姉が聞いたとします。姉は自分が話題にさえならなかったというだけのことで、妹にライバル意識を持つでしょう。もし、2人の間に確かに容貌の差があるとしたら、姉はすでに「どうせ、あたしは醜いですよ」と思っています。その心配が親のことばで確認されたのですから、恨みとねたみがわきます。

2番目に、知能面にも神経を使うべきです。親が、子どもの前で「弟の方が、お兄ちゃんより頭が良いようね」などということはよくありますが、そういう決めつけが子どもにとってどれほどショックか大人には理解しにくい。他意はなく日常のことではありますが、親が子どもをどう見ているかをよく表しています。私たちはみな、そういうことばに弱いのです。

3番目に、特に男の子はスポーツについては負けず嫌いです。兄弟の中で足が遅く体力がなくバランスのよくない子は、「いさぎよく2位に甘んじる」ことがなかなかできません。それが人間というものですから、これらの点で兄弟を比べることは慎んだ方がいいでしょう。
2人の息子を持つお母さんが、このような手紙を見せてくれました。9歳の兄が8歳の弟にかけっこで負けた夜に書いたというのです。

ジムへ

いいか、ぼくが1ばんでお前はビリだ。ぼくはいつだってかけっこで1番だ。お前なんかいつもビリだ。スポーツは、ぼくが1ばんでお前はビリっけつだ。それにお前はブタだ。けんかしたら、ぼくはだれにも負けないからな。ウソじゃないぞ。これでおしまいだ。

リチャードがこれを書いた動機はみえみえでユーモラスです。競争に負けていたく傷ついたので、帰宅して報復ののろしをあげたのです。これから2ヵ月間リチャードは、ジムの弱味につけこむ機会を必死にねらうことでしょう。それが人間です。


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Q.246

娘が2人いますが、姉の方は毎年申し分のない成績をとります。妹はいま6年生ですが、勉強に退屈していて努力さえしません。私の目には、恐らく妹の方が頭がいいように思えてやきもきします。どうして、実力を出そうとしないのでしょうか。


A.

下の娘さんが勉強にやる気を出せない理由はいろいろあるかも知れませんが、考えられることがあります。子どもは、いくら頑張っても1番になれないと思うと初めからあきらめます。ですから、お姉さんの得意分野には挑戦したくないんでしょう。例えば、長男がスポーツ選手だと、弟は昆虫採集に熱中し、長女が優秀なピアニストなら、妹は男の子ばかり追い回す怠け者になるといったぐあいです。

もちろん、子どもがどれほど失敗を恐れるか、また勝つ確率がどれくらいあると本人が考えるかにもよりますから、この説がいつも当るとは限りません。自信が強い弟は兄の得意分野に大胆に挑戦し、もっとうまくやろうとするかもしれません。しかし典型的なのは、兄弟姉妹の誰かが大成功している分野は避けて、他の分野に生きる道を捜すことです。

もしこれが妹に当てはまると思われるなら、彼女の学校の成績には過度な期待をかけない方がよいでしょう。全ての子どもを同じ型にはめる必要はありませんし、それを強いるのは無理です。

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Q.247

時々私は、子どもが親の注意を引くためにケンカや言い争いをするのではないかと感じます。もしそうなら、どうしたらいいでしょう。


A.

恐らくそれは正しいのでしょう。兄弟ゲンカは、時に子どもが親をあやつるのに使う方法です。口論したり取っ組み合いをすれば、確かに大人の注意を引くチャンスになります。ある人が「子どもは、自分が親の注目を引くためならば、手段を選ばない」と言いました。親を怒らせてもいいから、とにかく何らかの反応を引き出すという目標のために、兄弟2人が協力して親を困らせているのかも知れません。

ある父親の話ですが、息子とそのいとこが口論を始めそれが殴り合いになりました。双方の父親がそばにいたのに黙っていました。けんかの中休みに、1人が見物している大人に言いました。「だれか止めてくれないの? ぼくたち怪我しちゃうよ」と。

つまりどちらも、ケンカをしたいわけではなかったのです。激しそうにみえたケンカも、2人の大人がいたからこそしていたので、子どもだけだったら違っていたでしょう。子どもは、こういうふうに親の注意を引き介入させようとします。

実は、こういう種類の兄弟ゲンカは一番処理しやすいんです。親は、ケンカがどちらにも役立たないことを分からせればよい。その問題(例えば、午前中ずっとけんかが続く)を子どもたちと確認してからこう言うのです。

「いいかい、お前たち2人がお互いにいじわるをしてもっと惨めになりたいなら、それもいいだろう、やりたいだけやりなさい。(2人の力関係が釣り合っていることが前提です)外に出て、飽きるまでけんかするがいい。ただし私の前では許さない。もうこれで終わりだ。お父さんは本気だよ。分ったね」

ルールを明確にして、それでもあなたの目の前でどちらかが相手に手を出したら、断固として罰を与えます。2人に別々の寝室があれば、それぞれの部屋にやってラジオもパソコンもテレビも使わせない退屈な30分を過ごさせます。それとも、1人には掃除、1人には芝刈りをさせます。私の意図は、この次に「静かにしなさい」と命令を出す時に、即座に言うことを聞かせることです。
子どものケンカで家庭を台なしにする必要はまったくありません。意外かもしれませんが、親が愛と尊厳をもって適当なルールを定めると、子どもは喜ぶのです。

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Q.248

私は、不公平にならないようかなり努力しているので、恨みあう理由はないはずですが、子どもたちはケンカをし続けます。どうしたらいいんでしょう。


A.

問題は、罰則が不公正だからかもしれません。兄弟ゲンカが一番激しいのは、子どもが「罰が不公平」と感じる時です。つまり、「違反者」が捕まらず、たとえ見つかっても、裁かれもせずに自由にされる場合です。一般社会で法律が定められ守られるには、人々を互いから守るためであることを理解することが重要です。同じように、家族もミニ社会で、やはり人権が守られる必要があります。

例えとして、私が無法な開拓時代のある地域に住んでいるとしましょう。警察官はおらず、訴える裁判所もない。そのような状況では、近所同士が互いを虐げても罰を受けません。お隣さんが私の馬を盗み、窓に石を投げ、反対に私が彼の好物のりんごを盗み取り、夜中に鍬を盗み出すとします。この種の敵対心は、日ごとにエスカレートする性質があり、時が経つにつれて悪化します。ほっておけば開拓時代にあったように憎悪と流血の大惨事になってしまいます。

既に述べたように、法と秩序を必要としている点で、家族と社会は似ています。公正のないところでは、肩を並べる兄弟姉妹は互いを攻撃し始めます。兄や姉のほうが大きくて体力があり、弟妹を虐げられます。しかし、年下にも「武器」がないわけではありません。兄姉のおもちゃや大事にしている物をこわしたり、友だちが来ている時に邪魔したりしてやり返します。

多くの家庭では、善悪の判断を徹底させる罰が十分に行われていません。あるいは、親が兄弟ゲンカにへきえきして、巻き込まれるのを拒んでいます。もしくは、「あなたは大きいんだから」という理由で、お兄ちゃんに少々の我慢を強いている場合もあります。いたずらっ子の弟や妹がする悪さから身を守ることができないように、お兄ちゃんの手を縛っているのです。子どもたちが家で傷つけあっているのに、今日ではますます一般的なことですが父も母も働いて、家を空けています。

親御さんたちに再度言います。親としての最大の責任の一つは、家庭内に公平な罰則とバランスのとれた兄弟関係をつくることです。家族の誰にも公平になされる、合理的な「法律」がなくてはいけません。例として、私の家で長年の間にでき上がった、守るべき境界線とルールとを公開しましょう。

1 どの子も、お互いをバカにし傷つけることは許さない。例外はない。

2 2人の子どもは、それぞれのプライバシーが尊重される部屋を持つ。ドアには鍵があり、入るには、その部屋の持ち主の許可がいる。(1つの寝室に2人以上の子どもが寝ている場合は、ひとりひとりに専用のコーナーを与えることができる)

3 年上の子は、年下の子をからかってはいけない。

4 年下の子は、年上の子にいやがらせをしてはいけない。

5 ひとりでいたかったり、友だちといたい時には、兄弟で遊ばなくてもよい。

6 それでも兄弟ゲンカになったら、できる限り早く、えこひいきなく公平に親が仲介する。

どのような罰則にもあることですが、我が家の規則も、
(1)子どもが親のリーダーシップを認めること

(2)親が喜んで仲介をすること

(3)時には罰を執行することなどの条件が必要でした。愛をもってこれを行えば、兄弟は憎しみ合うのではなく、少なくとも忍耐し合うようになるでしょう。

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「ドクタードブソンの一問一答」の翻訳については、ファミリー・フォーラム・ジャパンがティンデール社から許可を得ています。

Excerpted from COMPLETE MARRIAGE AND FAMILY HOME REFERENCE GUIDE ・ 2000
by James Dobson Inc. Used and translated with permission of Tyndale House Publishers.
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