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ドブソン博士の一問一答
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Q.283 |
私の姪は、18歳で大学に入った途端に生活が乱れました。いい子だったのに一人暮らしを始めたと思ったら、度を過ごして酔っぱらい、男づき合いが始まり、3つのクラスで落第点を取りました。うちの娘はまだ12歳ですが、親元を離れる時に姪のような間違いを犯してほしくありません。一人立ちしたときにハメを外さないよう今から準備をさせるにはどうしたらいいのでしょう。 |
A.
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その秘訣は、親の目が届かなくなった時にはもうその必要がなくなるように、幼い時から自由と責任とを少しずつ譲り渡していくことです。きつく締めていた手綱を突然手放したら混乱を起こします。
私は、この原則を母から学びました。母は私に独立心と責任感を植えつけるために、よくよく計算したのです。幼い時にみっちりと基礎を築き、17歳の私に「卒業試験」を出しました。両親は2週間の旅に出る前、私に車の鍵を預け、留守の間に友だちを招いてもいいと言いました。
「ワーイ。毎晩友だちを連れ込んで騒げるなんて、信じられない」
それで、家の中はメチャメチャになったでしょうか。いいえ、私たちはおとなしく生活しました。
私は、母がずいぶん思い切ったことをしたなと思っていたので、大きくなってからそのことを聞いてみましたら、母は笑って答えました。
「あのね、もう1年もしたらお前も大学に入って家を出る時期だったでしょ。そしたらだれにも甘えられなくなる。まだ家にいる間にそういう環境においてあげたのよ」
娘さんも、1度に大海に投げ込むのではなく、成長につれて自由という水に少しずつ足を浸す経験をさせてあげるのです。智慧や機転がいりますが、できないことではありません。うまくやるなら、6、7年後の独立の時は大変動ではなく緩やかな移行時期になるでしょう。
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Q.284 |
16になる娘には頭がおかしくなりそうです。ナマイキで、うるさくて、ワガママです。部屋などはブタ小屋同然で、落第しない程度にしか勉強しません。マナーとか信仰とか、私どもがこれまでに教えて来たことは、みんな右から左に抜けていったようです。どうしたものでしょうか。 |
A.
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私が申し上げることは一風変わっていて、何の関係があるのかと思うかもしれませんが、まあ聞いて下さい。お母さんが娘さんのためにできる最善のことは「黙って見守ること」です。それでは分かりにくいでしょうから、説明いたします。
思春期と言う川を、娘さんがカヌーで下っているとしましょう。まもなく、白波の立つ急流にさしかかりカヌーは激しく揺れます。ひっくり返って溺れる危険もあります。急流をやり過ごせても、下流の渦には必ずや巻き込まれ、滝に落ちていく。それが、川を下っていく子どもを見守る数知れぬ親たちの心配です。ことに滝が心配です。
実際には、この川下りは親の取り越し苦労に終わることが多いのです。下流でますます急になるよりは、もう一度穏やかな流れに戻ります。私の言いたいのは、今娘さんは波をけたててカヌーをあやつり、息も絶え絶えのように見えますが、長い目で見れば大丈夫ということです。彼女のカヌーは、思ったより安定感があります。たしかに、麻薬や中毒性のある行いをして滝に落ちる人も中にはいます。しかし、それでもまたカヌーによじ登り、こぎ続けます。数年もすれば、ほとんどは平静を取り戻します。実は、沈没を引き起こす危険の最たるものは……親自身なのかもしれません。
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Q.287 |
おっしゃることが分る気がします。したいようにさせたらいいということではなく、何にでも口をはさんで本人を追い詰め、かえって反抗心をつのらせたらいけないということですね。 |
A.
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その通りです。わが家に十代の子がいた時には、「ゆるめては引き締める」という作戦を試しました。つまり、重要でないことにはたずなをゆるめ、重要なことでは引き締めるのです。できるかぎり希望を入れてやれば、時に出す禁止が効果的です。また、子どものしていることに常に関心を払うように我々は努力しました。
子どもが、どれほどワガママで、バカげて、正気でないように見え、イライラしても、簡単に投げ出さないで下さい。カヌーがあぶなっかしく揺れている時だけでなく、穏やかな流れを進んでいる時も、子どもには親が必要です。
今は危ない親子関係を立て直すのには、あり余る時間が残されています。怒りをためず、和解への一歩を踏み出しましょう。うるさく言い過ぎないように注意しましょう。ガミガミ言われるのはイヤなものです。気にくわないことを次々に口にされたら、聞こえない振りをしたくなります。
最後に、万一罰を与えたり、規則を作らねばならない時にも、子どもを人として尊重することです。そして、20代前半の穏やかな時期が訪れるのを待つのです。
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Q.288 |
3人の十代を育てている嵐のようなこの時期をどうやって乗り切ったらいいのですか。お答えはできる限り短くお願いします。 |
A.
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以下の5ポイントに要約できます。
1 家族のスケジュールをできるだけシンプルにする
2 休息の時間をたっぷりとる
3 栄養を十分にとる
4 子どもたちを継続的かつ健全な活動に専念させる
5 ひざを折って祈り続ける
過労で健康を損なった大人が、怒り狂った十代のようになってしまったら最悪です。
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Q.289 |
「父親不在」の影響について教えてください。特に思春期という難しい時期について。 |
A.
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言うまでもありませんが、十代の子にとって父親が家にいることは必要です。そうでないと、母親が1人でしつけなければなりません。今日数知れないシングルマザーの家庭でこれが現実になっていて、その大変さは想像を越えます。1人で2人の仕事をしなければならないばかりか、父親にふさわしいと思われることを母親たちが扱わねばなりません。
一般的に、反抗的な子どもを扱うには、男性の体格、低い声、そして強さがぴったりなのです。1人で立派に子育てしている母親が多くいますが、楽ではありません。
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Q.291 |
父親として、子どもが十代のうちにしておかなければならないことは何ですか。 |
A.
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ある人が「少年をふさわしい男性に結びつけよ。そうすれば、まず道を踏み外さない」と言いました。これは真実だと思います。父と息子が、趣味や興味を分かち合うなら、反抗期も比較的穏かに過ぎるでしょう。いっしょにしたことは生涯の思い出となります。
あなたは、感じやすい息子との間に共通の興味を育てていますか。息子と車の修理をする父親もいます。あるいはモデルカーを組み立て木工細工をします。
私は父とハンティングや釣りを楽しみました。早朝、森の中へ一緒に入っていったあの幸せな日々のことは口では言い表せません。私のために時間をとった父に向かって、どうして腹を立てられたでしょう。野原で楽しみ、笑いあって帰宅しながら、素晴しい会話の時を持ちました。私は自分の息子とも同じようにするよう努力しました。
自由に話しあえる親子関係を築く機会は、努力して作らねばなりません。それはどのような犠牲を払っても達成する価値のあるゴールです。
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Q.292 |
家内は、私を父親として尊敬するように息子たちに熱心に教えてくれます。お陰で、父としての役目はずいぶん楽になりました。私に腹を立てているときでさえ、家内は子どもたちにはそれを悟られないようにします。わが妻ながらよくできた母親だと思いませんか。 |
A.
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それ以上に奥さんは賢い女性です。母親は、父と子どもの間を強めることもできれば、その仲を割くこともできます。ルイス・ヤブロンスキーの著書「父と息子」は、このことを見事に表現しています。
著者によれば、母親は、息子に父親の人格、性格、また品性を伝える、第一の解説者です。言い換えるなら、息子たちが持つ父親像は、母親が父親について何を発言し、どう感じているかの結果と言えるのです。ヤブロンスキー家では、母親が父親に対する子どもたちの尊敬心をぶちこわしてしまいました。以下は著者のことばです。
「我々3人兄弟が席に着いている食卓で、母が父を目の前でけなすのをうんざりしながら聞いていたのを、まざまざと思い出します。母はこう言いました。
『見てごらん。頭を垂らして、肩を丸めてさ。役立たずだよ、お父さんは。いい仕事を見つけてもっと稼ごうなんて甲斐性はないんだから。負け犬だよ』
父は、皿に目を落としたまま、返事もしませんでした。母は、父のよい所や熱心な仕事ぶりを決して認めず、ダメなところだけに焦点を当て、重荷に打ちひしがれ抵抗しようのなくなった父親の否定的なイメージを、3人の息子の脳裏に刻んだのです。
父が母の絶えまない小言に反論しなかったので、我々息子は、母を正しいと信じこんでしまいました。加えて、母が父をそのように扱い、こきおろしたので、結婚生活とはイヤなもので、女性は口やかましいというイメージが定着しました。疲れ切った父親を見慣れていたので、自らすすんで結婚し父親になろうという気になれませんでした。
母親は、父と息子の関係においてのフィルターであり重要な意義を持っていることを私の研究は明らかにしています」
ヤブロンスキーの本には出てきませんが、父親が母子関係を損なう可能性のあることも事実です。
まだ若いころ、私が何かのことで妻のシャーリーにイライラしていると、すぐに子どもに伝染しました。「パパがママに口応えするなら、僕たちだって」と感じたようです。私が家内をどれだけ愛しているかを表現することがどれだけ大切かが分かってきました。相手を立てることでは、家内のほうが優れています。妻は家の中で私を王様のように扱ってくれます。家内が私について言うことの半分でも息子と娘が信じてくれるなら、私は満足です。
私が今ダネーやライアンと良い親子関係を保っているのは、私への家内の愛情と、彼女が子どもたちに善意に私を「解説してくれた」お陰だと思います。シャーリーには、いくら感謝しても感謝しきれません。
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Q.293 |
親子の別の面についてうかがいます。父親の娘に対する影響について教えてください。そして父親は娘との関係で何を目標にしたらいいのでしょう。 |
A.
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父は、娘に対して無限の影響力を持っています。少女が将来経験するすべての異性との関わりは、彼女が父親をどのように見、また関わったかによって良きにつけ悪しきにつけ影響されるとほとんどの心理学者が言います。
父親が娘を拒んだり無視したりすると、彼女は一生涯父を取り替えようと心の中でもがきます。温かく思いやりがある父親なら、彼女はそのような恋人を捜します。父が、娘を美しく価値があり女性らしいと思うなら、娘も自分をそのように見ます。逆に、娘は魅力がなく面白みに欠けると父が思うなら、彼女はおそらく大人になっても自尊心の問題に悩むでしょう。
もう一つ私が発見したのは、女性が夫を敬うかどうかは彼女が自分の父親をどう見たかに大きく影響されるということです。彼女の成長期に父親が横柄で、愛情に欠け気まぐれであれば、彼女は夫を軽んじ、その判断力を疑います。しかし、父が愛と権威の伴うリーダーシップを発揮していたなら、娘の家庭生活も穏やかなものになります。
もちろん、以上の説は絶対的ではありません。個人的な相違はありますから例外や矛盾は避けられません。しかし「良い父親は娘の一生にその足跡を残す」という事実にはだれも反論できないでしょう。
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Q.294 |
私は十代の娘とひどいケンカをすることがあります。娘くらい私の勘にさわる人間は他にいません。ケンカの最中には、2人とも文字どおり金切り声を上げます。うちのような母娘は珍しいですか。私たち親子には希望があるでしょうか。 |
A.
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残念ながら、そういう母娘は珍しくはありません。多くのカウンセラーが、母娘の間に起こる「葛藤」について報告しています。愛してはいるのですが、両者の摩擦はかなりの熱を生じます。
これは、恐らく「台所に女性が2人」と呼べる現象から生じているのでしょう。家庭内の女性に起きる一種の自然な競争意識です。
もう一つは、母親がとても難しく反抗的なお嬢さんに対処しきれない場合です。原因は何であれ、数年の間不愉快な日々が続きます。娘のためには何でもしてやれるけれど「今はお世辞にも娘を好きだとは言えないわね!」と感情をあらわにして告白するお母さんたちを知っています。あなたと娘さんも同じ様な状態のようですね。
改善の余地はあるでしょうか。私はあると思います。娘さんが思春期を過ぎ大人になるのを待ってください。彼女がお母さんにとって親友の1人になったとしても不思議ではありません。気を落とさないでください。最善の日々はこれからです。
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Q.295 |
それまで何をしていればいいのですか。うちに住むあの短気な娘をどうしたらいいのでしょう。 |
A.
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お答えする前に、ご主人と娘さんの関係について教えてください。
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「ドクタードブソンの一問一答」の翻訳については、ファミリー・フォーラム・ジャパンがティンデール社から許可を得ています。
Excerpted from COMPLETE MARRIAGE AND FAMILY HOME REFERENCE GUIDE ・
2000
by James Dobson Inc. Used and translated with permission of Tyndale
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